診断用ウェアラブル機器:設計課題およびチャンス

診断用ウェアラブル機器の設計分野は、小型化の維持、消費電力の抑制、データの整合性とコストに関わる懸念に至るまで、複雑さを極めています。 Molexは、この新たな分野で技術者がどのようにやり繰りしているのかヒントを得るために、アヴネットと共同で600人以上の技術者を対象とした新しいアンケート調査を実施しました。
大気汚染を測定するネックレスから、睡眠、心拍数、活動レベル、および体温を監視する指輪まで、新しい革新的なウェアラブル機器は、今日の単なる歩数計をはるかに超えた存在となっています。 また、血圧測定やがん検出など、さらに複雑な検知を行う新世代の診断用ウェアラブル機器の出現も間近に迫りつつあります。
しかし、この新しい機能は、設計技術者にとってより大きな課題を意味します。 Molexは、診断用ウェアラブル機器を担う技術関係者の経験と姿勢を見極めるために、これら機器の設計と開発に直接携わる世界中の技術者を対象としたアンケート調査を実施しました。
この調査プロジェクトでは、診断用ウェアラブル機器をスポーツ、フィットネス、ウェルネス、および医療管理分野で追跡および監視に使用される機器と定義しています。
複雑なエコシステム
アンケート調査の結果、技術者は、患者や消費者、そして医師や他の医療従事者、保険業者など、診断用ウェアラブル機器の利用拡大を支持する幅広い利害関係者を視野に入れていることが明らかになりました。
また彼らは、肥満防止から血液ベースの健康監視、さらにサンプル採取に至るまで、今後5年間に新しい応用分野で診断用ウェアラブル機器が登場する可能性に関して大きな期待を寄せています。
しかし、楽観的な見方や利用拡大の支持と裏腹に、逆風も吹いています。 調査対象の技術者は、市場の足を引っ張る利害関係者として、保険業者(31%)と医師、その他の医療従事者(27%)を筆頭に挙げています。 この分断は、非臨床環境での医療機器の使用と賠償に関わる懸念が一因となっています。
ほぼすべての回答者(98%)が診断用ウェアラブル機器の、より急速な拡大を実現する上での課題を挙げています。 筆頭に挙げられたのは、医療機器とみなされる診断用ウェアラブル機器に必要な規制当局の承認に伴う遅延ですが(49%)、FDA承認プロセスの行程を支援する医療機器プロトタイプの専門家と提携することで、このプロセスは効率化できます。 その他の課題として、データの整合性(46%)と医療機関そのもの(39%)が挙げられています。
また、技術者は、まず技術革新(54%)、次に遠隔医療と遠隔患者監視の普及拡大(47%)、さらに患者と介護者と消費者の需要(40%)という市場全体の力が、この技術を後押しすると予想しています。
課題の多い設計分野
新しい革新的な診断用ウェアラブル機器の開発を目指す技術者の多くは、より小型でエネルギー効率の高い機器に的を絞っています。 回答者は、この過程で、今日の多くの製品開発活動で見られる典型的な制約と闘っていると述べ、特にコスト(38%)、耐久性(37%)、電力管理(35%)を上位に挙げています。
患者、介護者、または消費者により医療現場以外で使用される診断用ウェアラブル機器の設計には、他にも特有の課題があります。 技術者は重要な課題として、使い勝手に対するユーザーの大きな期待、分かりやすいユーザーインターフェース、および完全なマニュアルの必要性、そして管理の行き届かないホームケア環境における予測外の変化を考慮する必要性を挙げています。
データ収集と接続性も懸念事項の1つです。 回答者の約3分の1(30%)は、接続性を課題に挙げています。 回答者の3分の2以上(82%)は、データを効果的に収集して利用する方法、あるいは収集したデータを医学的に有効利用する方法に関して、あまり明確になっていない点で見解が一致しています。 回答者のほぼ全員(94%)は、データのセキュリティとプライバシー関する責任感の必要性を挙げています。
診断データに関しては大きな期待がありますが、データを効果的に取得して利用する方法については、あまり明確ではありません。
監視自体は難しくありませんが、データを医学的に有効活用するのは難しいものです。
大規模に商業化するためには、いくつかの技術的課題に取り組む必要があります。 新しい機器の研究も急速に進んでおり、スマートウォッチなど既存のウェアラブル機器も、健康監視機能を向上させています。 また、診断用ウェアラブル機器の未来には楽観的な見方があります。
Stanford Center for Genomics and Personalized Medicine所長のMichael Snyderは、Stanford Medicineの記事の中で、おそらくそれを最もよく言い表しています。 感染症をスマートウォッチで検出できることを示した最初の研究者である(そして、毎日8個のセンサーを身に着けている)Snyder氏は、「ダッシュボードなしで車を運転することはないでしょう。それと同じように、健康モニターなしで出歩くのは異常だと断言します」と述べています。
アンケート調査の全結果は、「診断用ウェアラブル機器:将来の医療監視」をご覧ください。(英文)
詳しくは、ウェアラブル機器における環境発電の可能性の詳細をご覧ください。(英文)



